改正育児・介護休業法への実務対応(その5)
今回は、「改正育児介護休業への実務対応」の最終回です。
繰り返しになりますが、改正育児介護休業法における主な改正の内容は以下のとおりです。
1 子育て期間中の働き方の見直し
2 父親も子育てができる働き方の実現
3 仕事と介護の両立支援
4 実効性の確保
今回は、上記内容のうち、「3 仕事と介護の両立支援」「4 実効性の確保」について、解説していきたいと思います。
【仕事と介護の両立支援】
「平成20年度雇用均等基本調査」によると、介護休業制度を利用している割合は、0.06%。男女別にみると、女性0.11%、男性0.03%となっています。つまり、これまでの介護休業制度は、「非常に取得しにくい」制度であったといえます。
介護期間は場合によっては長期にわたるため、要介護者を日常的に介護する期間に、年休や欠勤などで対応している人も多いのが実情です。また、家族の介護・看護のために離職や転職をしている人も多く、5年間で約50万人にも上っています。
高齢化が進む中で、家族を介護するための休暇に対するニーズは年々高まっています。今回の改正において、従来の介護休業に加え、介護のための短期の休暇制度が創設されました。これにより、要介護の家族の通院の付き添いなどに対応するため、年5日(対象者が2人以上の場合は年10日)の休暇を取得することができるようになりました。
●実務上のポイント
介護休暇制度の導入時における「実務上のポイント」は、以下のとおりです。
① 対象者は・・・
介護休暇は、「日雇労働者」の他、労使協定を締結することにより、以下の労働者を対象外とすることができます。
・入社6ヶ月未満の労働者
・1週間の所定労働時間が2日以下の労働者
労使協定を締結せず、「日雇労働者」を除く、すべての労働者を対象としている企業もあります。
② 取得単位は・・・
法律上は「日単位」となっています。
弾力的な利用を可能とするために、取得単位を「時間」「半日」としている企業もあります。
③ 介護休暇を取得したときの取扱いは・・・
・月例給与
取得した日に対する月例給与は、支給する必要はありません。
取得した日を「有給扱い」にしている企業もあります。
・賞与・退職金・昇給(改定)の算定
賞与などの算定に当たり、取得した日を「働かなかったもの」として、按分支給(「日割で算定期間から控除する」など)することは、問題ありません。
取得した日を「通常勤務したもの」として、算定している企業もあります。
・年次有給休暇
年次有給休暇の権利発生のための出勤率の算定については、「出勤したもの」として取り扱う必要はありません。ただ、多くの企業では、「出勤したもの」として取り扱っています。
【実効性の確保】
法制度が充実しても、これを安心して使える仕組みがなければ意味がありません。
法の実効性を確保するため、今回の改正によって、育児休業が取得できないなどのトラブルが発生したときに、都道府県労働局長が紛争解決を援助したり、調停委員によって調停を行ったりする仕組みが創設されました。
また、法を遵守していない企業(事業主)に対しては、これまで、法違反に対する制裁措置がありませんでしたが、改正法により、法違反に対する国の是正勧告に従わない場合は企業名が公表される仕組みのほか、国からの就業規則などの求めに対して虚偽の報告をした、または報告をしない企業(事業主)に対する過料(行政上の義務違反に対する制裁の一つとして金銭を徴収すること)の制度が創設されました。
改正育児介護休業法は、「常時100人以下の労働者を使用する企業(事業主)」に対する猶予措置を除き、平成22年6月30日に、全面適用されています。
改正育児介護休業法に関して、疑問・不明点等がありましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
社会保険労務士 笹島敏邦









