改正育児・介護休業法への実務対応(その1)

改正育児・介護休業法は、一部を除き、平成22年6月30日から施行されます。この改正法について、シリーズで解説していきたいと思います。
 

主な改正の内容は以下のとおりです。

1 子育て期間中の働き方の見直し
2 父親も子育てができる働き方の実現
3 仕事と介護の両立支援
4 実効性の確保

子育て期間中の働き方の見直し
背景:女性の育児休業取得率は非常に高く(約9割)、着実に定着が図られていますが、第1子出産を機に約7割が離職している、という現実があります。
また、子の人数が増えれば増えるほど、子の看病などで仕事を休むニーズが高まりますが、現行の制度下(年5日までの看護休暇)では、日数が足りなくなる状況に陥ることもありました。

そこで、子育て期間中でも継続して働くことができる(働ける)ようにするために、以下の3点が改正法で定められました。
① 短時間勤務制度の義務化
② 所定外労働の免除の義務化
③ 子の看護休暇の拡充
 

このうち、①②については、100人以下の中小企業は適用が猶予されます。(平成24年6月30日に適用予定)

今回は「短時間勤務制度の義務化」について解説していきます。

 

① 短時間勤務制度の義務化
会社(事業主)は、3歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業していないものについては、当該労働者の申出に基づく短時間勤務制度の措置を取らなければなりません。
        ────────────────────────────────────────
         短時間勤務制度の導入には、当然「就業規則の改定」が必要であり、一般的には育児介護休
         業規程で見直すことになります。また、育児・介護休業法の内容を円滑に運用していくには、
         手続上の様式の整備も欠かせません。
        ────────────────────────────────────────
【対象者】
対象者は、次のすべてに該当する労働者です。
・3歳に満たない子を養育している
・1日の所定労働時間が6時間以下でない
・日々雇用されている者でない
・短時間勤務制度が適用される期間に育児休業をしていない
・労使協定により適用除外されていない

>>>> 実務上のポイント
対象者については、労使協定がポイントとなります。
以下の労働者については、本来、短時間勤務制度の対象となりうるものの、労使協定により対象外とすることができます。
・当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者(よくわからないと思いますので、厚労省の例示を下記に掲げます。)
 

イ 業務の性質に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
 → 国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務
 

ロ 業務の実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
 → 労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務
 

ハ 業務の性質及び実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
 → 流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
 → 交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
 → 個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務

【短時間勤務制度の内容】
短時間勤務制度では、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければなりません。

>>>> 実務上のポイント
「原則として6時間」となっていますが、たとえば、以下のような場合でもOKです。
・通常の所定労働時間が7時間45分である事業所において短縮後の所定労働時間を5時間45分とする。
・1日の所定労働時間を6時間と設定したうえで、隔日勤務等の所定労働日数を短縮する措置等を併せて設ける。

社会保険労務士 笹島 敏邦

人事・労務管理情報 | 更新日:2010.03.02