シリーズ【改正労働基準法】 VOL4
今回は、代替休暇に関して説明していきたいと思います。
改正労働基準法では、中小企業を除き、1か月60時間を超える時間外労働に対しては、その超えた部分の割増賃金率を5割以上としなければならないことになっています。
代替休暇は上記の割増賃金率の引上げ分の割増賃金に代えて、有給の休暇を与えることができる制度です。
代替休暇制度の導入には、労使協定の締結が必要です。また、代替休暇は、労働基準法第89条第1項1号に定める「休暇」に関するもの(=絶対的必要記載事項)であるので、就業規則にも、その内容を規定する必要があります。
1 労使協定
労使協定では、次の事項について定める必要があります。
① 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
例) 代替休暇の時間数は、1か月60時間を超える時間外労働時間数に換算率を乗じた時間数とする。この場合において、換算率とは、代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率50%から代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率25%を差し引いた25%とする。
② 代替休暇の単位
例) 代替休暇は、半日又は1日単位で与えるものとする。この場合の半日とは、午前(8:30分~12:00)の3時間30分又は午後(13:00~17:30)の4時間30分のことをいう。
③ 代替休暇を与えることができる期間
例) 代替休暇は、賃金計算期間の初日を起算日とする1か月において、60時間を超える時間外労働を行なった者のうち、半日以上の代替休暇を取得することが可能な者に対して、当該代替休暇を取得することが可能な者が取得の意向を示した場合に、当該賃金計算期間の末日の翌日から1か月以内に与えるものとする。
④ 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
例) 会社は、1か月60時間を超える時間外労働を行なった労働者に対して、当該賃金計算期間の末日から5日以内に代替休暇取得の意向を確認するものとする。この場合において、5日以内に意向の有無が不明なときは、意向がなかったものとみなす。
例) 会社は、意向確認の結果、代替休暇取得の意向があった場合には、支払うべき割増賃金額のうち代替休暇に代替される賃金額を除いた部分を当該時間外労働を行なった月に係る賃金支払日に支払うこととする。ただし、当該賃金計算期間の末日から1か月以内に代替休暇が取得されなかった場合には、残りの割増賃金は代替休暇が取得されないことが確定した月に係る割増賃金支払日に支払うこととする。
例) 会社は、意向の結果、代替休暇取得の意向がなかった場合には、当該月に行なわれた時間外労働に係る割増賃金の総額を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、取得の意向がなかった労働者から当該賃金計算期間の末日から1か月以内に改めて取得の意向が表明された場合には、会社の承認により、代替休暇を与えることができる。この場合、代替休暇の取得があった月に係る賃金支払日に過払分を精算するものとする。
2 就業規則
就業規則にも、上記労使協定の内容を盛り込む必要があります。
「就業規則の変更」なので、当然、所轄労働基準監督署に、労働者代表の意見書を添付して、届け出る必要があります。
代替休暇制度は、長時間労働を抑制する効果が期待できますが、非常に複雑な制度であり、事務担当者の過大な負担になることも考えられます。
従って、制度導入によるメリット・デメリットを良く見極めた上で、導入するか否かを決定する必要があるでしょう。
社会保険労務士 笹島 敏邦









