シリーズ【改正労働基準法】 VOL3

今回の労働基準法改正に伴い、「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」という厚生労働省の告示が改正されます。

改正の内容は、以下のとおりです。

①労使当事者は、「特別条項付き36協定」を締結する場合、限度時間を超える時間外労働の割増賃金率を定めなければならない。
②労使当事者は、「特別条項付き36協定」を締結する場合、限度時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めなければならない。
③労使当事者は、上記①の割増賃金率を定める場合、政令で定める率(2割5分)を超える率とするように努めなければならない。

では、「特別条項付き36協定」に関する実務について、解説していきましょう。

1 労働者側の代表

今回の改正による「特別条項付き36協定」は、そのプロセスが今まで以上に重要視されていくことが予想されています。

まず、「労働者側の代表の選任」には、法律上の決まりごとがあります。

つまり、「労働者側の代表」は、次の者でなければなりません。

 ① 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合
 ② 上記①の労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者
  なお、「労働者の過半数を代表する者」は、次の2つを満たす必要があります。
 ・管理監督者でない者であること・労使協定をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること

上記①のような労働組合があれば別ですが、「特別条項付き36協定」の締結までの現実的な流れは、以下のようになるでしょう。
 ① 会社(使用者)が「特別条項付き36協定」のたたき台を作る。
 ② 労働者側で、たたき台の内容を検討する。
 ③ 労使協議により、たたき台を修正し、「特別条項付き36協定」の内容を決定する。
 ④ 労使協定書(届)に使用者と労働者側の代表が記名・押印する。

労働者側の労働法令に対する知識不足によって、上記②③を機能させることは難しいかもしれません。ただ、その場合においても、会社(使用者)は、①のたたき台の内容を労働者側によく説明し、理解を促す必要があるでしょう。 

2 適用される労使協定とは
たとえば、平成22年4月1日以降の期間を含む「特別条項付き36協定」であっても、以下のパターンであれば、「改正の内容」は適用されません。(限度時間を超える時間外労働の割増賃金率などを定める必要がありません。)

 ① 平成22年3月30日に労使協定が締結され、平成22年3月31日に届出された場合
 ② 平成22年3月30日に労使協定が締結され、平成22年4月1日以降に届出された場合

3 労使協定の例
--------(特別延長時間に対する割増賃金率)-------------------------------
特別延長時間に対する割増賃金率は、以下のとおりとする。

① 1か月当たり45時間、1年間360時間を超える部分・・・3割
② 1か月当たり60時間を超える部分・・・5割

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①について
・労使協議の結果、政令で定める率(2割5分)になったとしても問題ありません。
・1年単位の変形労働制を採用している場合、45時間を42時間、360時間を320時間に読み替える必要があります。
②について
中小企業に該当する場合には、1か月当たり60時間を超える部分の割増賃金率を決める必要はありません。

なお、「限度時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めなければならない」という改正内容に対応するために、以下のような規定も加えておくと良いでしょう。

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(特別延長時間の短縮)
会社及び従業員は、特別延長時間をできる限り短くするように努めるものとする。

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                                              社会保険労務士 笹島 敏邦

人事・労務管理情報 | 更新日:2009.11.18